万が一の非常時に備え、電気自動車を「走る蓄電池」として活用できる、V2Hの導入を検討している人が増えています。ただ、V2Hは商品によって価格も仕様もさまざま。いったいどれが良いのか迷ってしまいます。今回はメーカーそれぞれのポイントを比較・紹介していきます。
V2H機器の導入の時に抑えておきたいこととは?
購入したものの、自分の家に合わず使いこなせなかった、ということがないようにするには、V2H機器のどこを確認すべきでしょうか。
対応車種によって選ぶものが異なる
V2H機器はそれぞれ利用できる車種が決まっています。
車種にこだわりがある場合は、V2H機器を選ぶことが難しいものもあります。反対に、V2H機器の性能や価格で選びたい場合は、その機器を使える車種の中から選ぶことになります。
V2Hを導入する際は、電気自動車とV2H機器のどちらを重視するか、明確にすることが大事です。
見るべきポイント
まずは、自宅の駐車スペースにV2H機器を設置できるか、充電ケーブルが車の給電口に届くかなどサイズを確認しましょう。
V2H機器には太陽光発電システムと連携できる製品もあります。すでに自宅で太陽光発電システムを導入している場合、連携できるV2H機器を選べば、電気代の大幅な節約にも繋がります。
V2Hで使う電気系統は電気自動車、電力会社から送られる電気、太陽光発電の3つです。この3つすべてを同時に利用できるV2H機器を「系統連系」型といいます。系統連系型は、停電時にも太陽光発電から電気自動車に充電しつつ、家庭にも電気が送られます。非系統連系型の場合、常に1つの電気系統を利用し、充電と放電を同時に行うなどはできません。
また、V2H機器自体に蓄電機能があるものは、停電時に自立運転モードに切り替えることで専用の配線から電気を使うこともできます。
この他にも、保証内容や操作パネルの利便性、停電時の操作方法などが注目ポイントに挙げられます。
V2Hの購入費用の相場はどのくらい?
では実際にV2H導入にはどのくらい費用がかかるのでしょうか。
V2H本体の購入にかかる費用は?
V2H機器の本体価格は、容量や仕様により大きく異なり、約40~300万円と幅が広いです。そのため一概には言えませんが、相場は100~150万円程度でしょう。
ただ、V2Hの導入には、自治体によっては高額の補助金が交付されるので、半額程度の費用で購入できる場合もあります。
V2H設置・維持にかかる費用は?
V2H機器の設置にかかる費用は、設置する家のスペースや配線の長さ、太陽光発電の有無などによって異なります。
駐車場隣接の一般的な戸建て住宅の場合、工事代は約30~40万円程度で、追加工事が入ればその分費用がかかります。
V2Hの維持費として挙げられるのは、電気自動車を充電する電気代です。車種や走行距離により変動しますが、月額はおよそ4500円程度と、ガソリン代に比べれば割安です。
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それではメーカーそれぞれのV2H機器の特徴をみていきましょう。
<一覧表>
| 
 メーカー・品番  | 
 タイプ  | 
 出力  | 
 特徴  | 
 参考価格  | 
| 
 アイケイエス  | 
 系統連系  | 
 6kW(系統連系時)  | 
 リチウムイオン蓄電池を利用  | 
 1,900,000  | 
| 
 デンソー  | 
 系統連系  | 
 6kW(系統連系時)  | 
 急速充電対応  | 
 1,100,000  | 
| 
 GSユアサ  | 
 系統連系  | 
 10kW  | 
 急速充電対応  | 
 2,500,000  | 
| 
 椿本チエイン  | 
 系統連系  | 
 5kW(系統連系時)  | 
 EMSとの連携が充実  | 
 1,400,000  | 
| 
 東光高岳  | 
 非系統連系  | 
 3kW  | 
 給電の切り替えが早い  | 
 750,000  | 
| 
 ニチコン  | 
 系統連系  | 
 6kW(系統連系時)  | 
 急速充電対応  | 
 スタンダード:398,000  | 
参考:http://www.cev-pc.or.jp/event/pdf/chirashi_03.pdf(次世代自動車振興センター)
アイケイエス「S06JP010V」
大容量の10kWhリチウムイオン蓄電池を利用し、太陽光発電とともに昼間のピーク時も効率よく電気を使用できます。
デンソー「V2H-充放電器」
自動車部品の開発メーカーの製品で、デンソー製のエネルギー管理システム(EMS)と連携でき、過去の発電量などから最適な電力プランのマネジメントが可能です。急速充電に対応しており、200Vの充電スタンドの約2倍のスピードで充電可能です。
GSユアサ「VOX-10-T3-D」
急速充電だけでなく、電気自動車からの電力制限など、ピークカット制御にも対応しています。電力の平準化システムにより、電気代の節約が可能です。
椿本チエイン「TPS10-A」
停電時は電気自動車だけでなく、他の蓄電池や太陽光発電と組み合わせての使用も可能です。EMS との通信機能も充実しています。
東光高岳「CFD1-B-V2H1」
非連系型で、停電時に電力会社からの給電とV2Hからの給電の切り替えを高速で行えるので、停電時間が短くできます。
ニチコン「EVパワーステーション」
家庭用蓄電池のシェアトップメーカーの製品です。倍速充電に対応しており、グレードの高いモデルではアプリにも連携しておりスマホで手軽に充電の設定や確認ができます。
<まとめ>
V2Hはメーカーごとにさまざまな製品が出ています。自分に合ったものを選べば、電気代の節約や停電時の備えなど、生活に多くのメリットがあります。ぜひV2H導入を検討する際の参考にしてみてください。